社会には、営利企業によって開発され製造販売されたものによって便利になったもこともたくさんある反面、従来の社会的な慣習や生活が改悪されたものもたくさんある。
しかし、後者の側面については、社会にもたらされる情報のほとんどが広告収入によって成り立っているマスコミによってもたらされているために報道されることが少ない。
ランニングシューズやジョギングシューズもそんな事例の1つであるという話を「BORN to RUN」という本で読んだ。
最近はランニングがブームで、関西でも神戸や大阪で大きなマラソン大会がひらかれるようになってきている。
しかし、歩くことに比べると走ることは膝をはじめとする身体のパーツに与える衝撃は大きく、その衝撃を受け止めために身体に大きな負担が生じる。その負担が大きいが故に膝などに故障が生じるランナーもランニングブームによって増加中である。
もともとランニングシューズは、そんなランナーの故障をなくすために、踵部分などにクッション機能等を備えたツールであるが、そのクッション機能が人間の身体にもともと備わっていた機能を損なわせ、かえってランナーの故障を増やす原因になっているという事実がある。
そこで故障を回避してランニングを楽しむために、いま、裸足ランニングが静かなブームになってきている。裸足で走ることによって、もともと人間に備わっていた原初的な走る機能を取り戻そうというムーブメントである。
そして、マスコミによってこの裸足ランニングが紹介され、同時にこれに興味を持った人向けに裸足感覚で走れるランニングシューズが紹介されている。このランニングシューズは、シンプルな作りに反して、値段は踵などに高機能を仕込んだ高級ランニングシューズよりもさらに高額である。
故障を減らすと謳った高額なシューズで大儲けをし、そのシューズで故障者を増やし、その反動の原点回帰で裸足ランニングが流行ると、今度は裸足ランニング向けのさらなる高額シューズでもうひと儲けする。
これはどう考えても営利企業によるマッチポンプ行為(マッチで自ら火事を起こして煽り、それを自らポンプで消す偽善的詐欺行為)であり、また、そのほんの氷山の一角にしかすぎない。