鹿児島に「しょうぶ学園」という社会福祉施設があります。
そこには入所施設からデイサービスまで、いろいろな機能がありますが、多くの障がい者が創作活動を行う工房として有名です。独創的な刺繍、縫製による布作品は国内外から注目を集めているほどです。
そのしょうぶ学園を訪ねてみると、思いがけなくセンスのいい建物が立ち並び、真ん中には芝生の広場もあって、場所の明るさにまず感心。さらに芝生広場を望むレストランに入ると、天井が高い漆喰の壁の建物で、居心地のいいオシャレな空間にホッとしました。
なぜホッとしたかといえば、「福祉」の匂いがしなかったからだと思います。
レストランではおいしいサンドイッチセットを食べ、ショップでは純粋に面白い、欲しいと思える作品を眺めました。
唯一、一般のお店と違ったのは、レストランでカレーセットを頼んだ人のところに、「カレー以外は?」とウェイトレス、ウェイターが3回にわたって聞きに来たこと。その際の私たちの応答は、1回目は「カレー単品ではなく、セットです」とセット注文であることを強調。2回目はセットで付く何かが足りないのではないかと思い、「セットというのは…」とセットメニューの内容を読み上げました。しかし、それにもかかわらず、3回目にやって来たウェイターは「セットでつくものはみんなあります。ただ、今日はカレーが売り切れました」と言ったのです。
思わず、「そうだったんですか」と私たちは笑顔に。それは障がい者スタッフのコミュニケーション力だけの問題ではなく、私たちの思い込みの強さをも表す出来事だと思ったからです。ウェイターさんも「そうだったんです」と一緒に笑顔になってくれたときは、思わず救われた気分でした。そして、「こういうゆったりテンポで物事が進んでいけばいいのに」と調子良く思った私です。
しょうぷ学園にはレストランの他に、蕎麦屋やパン屋もあり、家族や友人と訪ねれば、ゆっくり楽しめます、また、縫い物工房の他に、陶器の工房、木工の工房があり、各工房とも窓越しに覗いてみると、、障がい者のみなさんが熱心に創作に打ち込んでいました。
アート感覚あふれるしょうぶ学園の世界が、一見してセンスよく間口を広げてまとまってきていることは、障害の有無にかかわらず、共有できる場所の見本のように思えて、私はうれしく思います。
http://www.shobu.jp
2015年04月11日
2015年03月07日
自分を見つめる自分を育てる
アサーション・トレーニングの一環として、最近の私はマーシャル・ローゼンバーグさんによるNVCの理論をもとにしたグループワークをよく行います。ある特定の場面の自分の感情や必要とするもの(ニーズ)を探索していくワークで、これを体験してみるとほとんどの人が自分の感情やニーズの多様性に驚きます。人間の感情やニーズはミルフィーユのように重層的になっていて、表層的な感情・ニーズから深層的な感情・ニーズまで多彩にあり、どこに目を向けるかによって、自分の心持ちや行動が変わってきます。
小林秀雄は「美を求める心」という著作のなかで次のように述べています。
「泣いていては歌はできない。悲しみの歌をつくる詩人は、自分の悲しみを、よく見定める人です。悲しいといってただ泣く人ではない。自分の悲しみに溺れず、負けず、これを見定め、これをはっきりと感じ、これを美しい言葉の姿に整えて見せる人です。
詩人は、自分の悲しみを、言葉で誇張して見せるのでもなければ、飾り立てて見せるのでもない。一輪の花に美しい姿がある様に、放って置けば消えてしまう、取るに足らぬ小さな自分の悲しみにも、これを粗末に扱わず、はっきり見定めれば、美しい姿のあることを知っている人です。」
ありのままの自分を受け容れることは、感情に溺れ支配されることではありません。自分の中にわき起こる多様な感情に気づき、味わい、その背景にあるニーズに目を向けてつながっていく過程が自己共感であり、自己受容のプロセスといえます。小林秀雄は美に対するニーズを満たすために、詩人の中で起こるプロセスを的確に言語化していると思います。こうした過程で必要なのは、自分を客観的に見つめるもう1人の自分の目。「メタ認知」という言葉が今は一般的ですが、例えば心から喜んでいるときに「わー、うれしい!」と言うだけでなく、「今、私は喜んでいる」と自身の感情を意識化する能力のことです。
研修や講座に参加してくださるみなさんにこうしたことをお伝えし、「自分を見つめる自分を日常のなかでぜひ育てていってください」と言いながら、「私自身も今、自分を見つめる自分を鋭意育成中です」と言っています。自分を大切にするということは、自分の主観だけでなく客観も大切にし、自分の中に豊かな視点を育てていくことでもあると思うこの頃です。
※私はNVC認定トレーナーではありませんが、NVCに賛同し、自身が担当する研修・講義のなかでNVCの学びをシェアしています。
小林秀雄は「美を求める心」という著作のなかで次のように述べています。
「泣いていては歌はできない。悲しみの歌をつくる詩人は、自分の悲しみを、よく見定める人です。悲しいといってただ泣く人ではない。自分の悲しみに溺れず、負けず、これを見定め、これをはっきりと感じ、これを美しい言葉の姿に整えて見せる人です。
詩人は、自分の悲しみを、言葉で誇張して見せるのでもなければ、飾り立てて見せるのでもない。一輪の花に美しい姿がある様に、放って置けば消えてしまう、取るに足らぬ小さな自分の悲しみにも、これを粗末に扱わず、はっきり見定めれば、美しい姿のあることを知っている人です。」
ありのままの自分を受け容れることは、感情に溺れ支配されることではありません。自分の中にわき起こる多様な感情に気づき、味わい、その背景にあるニーズに目を向けてつながっていく過程が自己共感であり、自己受容のプロセスといえます。小林秀雄は美に対するニーズを満たすために、詩人の中で起こるプロセスを的確に言語化していると思います。こうした過程で必要なのは、自分を客観的に見つめるもう1人の自分の目。「メタ認知」という言葉が今は一般的ですが、例えば心から喜んでいるときに「わー、うれしい!」と言うだけでなく、「今、私は喜んでいる」と自身の感情を意識化する能力のことです。
研修や講座に参加してくださるみなさんにこうしたことをお伝えし、「自分を見つめる自分を日常のなかでぜひ育てていってください」と言いながら、「私自身も今、自分を見つめる自分を鋭意育成中です」と言っています。自分を大切にするということは、自分の主観だけでなく客観も大切にし、自分の中に豊かな視点を育てていくことでもあると思うこの頃です。
※私はNVC認定トレーナーではありませんが、NVCに賛同し、自身が担当する研修・講義のなかでNVCの学びをシェアしています。
2015年02月16日
つながりのコミュニケーション
先日、名古屋市千種生涯学習センターで女性セミナー「今までの私、これからの私」の第4回「アサーティブ・コミュニケーション」の講師を担当しました。それは昨年9月にこのブログでもご案内した全7回のセミナーで、毎回異なる講師が異なる角度から受講生のみなさんのご自身に関する気づきや学びを促進する講座です。1回2時間という短い時間でしたが、みなさんにロールプレイやワークシートをもとに意見交換していただく時間を交えながら、「アサーティブ・コミュニケーション」に触れるひとときを持ちました。
「アサーティブ・コミュニケーション」というのは、自分の気持ちや考えを正直に、率直にその場に合った適切な表現で伝えるコミュニケーションです。私、あるいはあなたのどちらか一方ではなく、私も、あなたも大切にするコミュニケーションで、攻撃的にならず、さりとて同調するだけの非主張的な態度にもなることなく、対等な人間関係を築くコミュニケーションであることが特長です。
……と少しだけ説明しても、何となく面白そうに思えるのが「アサーティブ・コミュニケーション」の魅力。今回は昨年、名古屋市女性会館(イープルなごや)で開催した5回シリーズの講座「アサーティブ・コミュニケーション」の評判をお聞きになった千種生涯学習センターの担当の方がご依頼くださったのですが、当日行ってみたら、その昨年の講座を受講された方も再び受講してくださっていて感激しました。仕事だけでなく、人もつながっていくのはうれしいです。
さらに、JIELの仕事ではありませんが、私が個人的に3年くらい前、名古屋にあるNPOバンク コミュニティーユースバンクmomoの「プロセスマネージャー養成塾」の一環として「ファシリテーション講座」という1日講座の講師を担当したことがありました。その際に受講してくださった愛知県教育委員会の方から研修講師のご依頼をいただき、当初はファシリテーション研修をご希望だったのですが、対象者をお聞きして「アサーティブ・コミュニケーション」のほうがよいのではないかと思い、ご提案したところ、どういう内容なのかという話になり、「実は12日に千種生涯学習センターで行うのですが」とお話ししたところ、その方も見学に来てくださいました。そして、ワークにもご参加いただき、実際の体験を通じて「これは面白いし、勉強になります」と内容も気に入っていただくことができました。
私たちの日常はそのとき、そのときの行動の積み重ねによって次の現実が生まれていきます。そして、どのようなコミュニケーションをとっているかによって、お互いの人間関係が形成されていきます。そう考えると、今の私にとってのアウトプットのひとつである講座や研修、授業を通じて、つながりが育まれ、新しい現実が生まれていくのは、とてもうれしいことです。そうそう、講座を通じて出会った方だけでなく、千種生涯学習センターの講座には、何と私の中学・高校時代の同級生も受講生として参加してくれました。「千種区在住で近いから」ということでしたが、彼女も「面白かった!」と言ってくれてうれしかったです。
講座では導入部分のみのご紹介でしたが、受講生のみなさんがこれから、ご自身の学びをどんどん広げていかれるといいなと思っています。私は受託研修・講座だけでなく、JIEL公開講座でも3日間集中の「アサーション・トレーニング」を年1回開催しています。「アサーション・トレーニング」はアサーティブなコミュニケーションを習得するためのトレーニングで、今年は7月18、19、20日の3連休に名古屋市天白区原にあるHCCで開催します。4月から受付開始ですが、現在も先行予約受付中ですので、これをお読みの皆様もぜひチェックして、早めに日程確保とお申し込みをいただけるとうれしいです。
※JIELホームページのトップページ 「ラボラトリー体験学習ステップアッププログラム」の一番下に「アサーション・トレーニング」として記載されています。http://www.jiel.jp
「アサーティブ・コミュニケーション」というのは、自分の気持ちや考えを正直に、率直にその場に合った適切な表現で伝えるコミュニケーションです。私、あるいはあなたのどちらか一方ではなく、私も、あなたも大切にするコミュニケーションで、攻撃的にならず、さりとて同調するだけの非主張的な態度にもなることなく、対等な人間関係を築くコミュニケーションであることが特長です。
……と少しだけ説明しても、何となく面白そうに思えるのが「アサーティブ・コミュニケーション」の魅力。今回は昨年、名古屋市女性会館(イープルなごや)で開催した5回シリーズの講座「アサーティブ・コミュニケーション」の評判をお聞きになった千種生涯学習センターの担当の方がご依頼くださったのですが、当日行ってみたら、その昨年の講座を受講された方も再び受講してくださっていて感激しました。仕事だけでなく、人もつながっていくのはうれしいです。
さらに、JIELの仕事ではありませんが、私が個人的に3年くらい前、名古屋にあるNPOバンク コミュニティーユースバンクmomoの「プロセスマネージャー養成塾」の一環として「ファシリテーション講座」という1日講座の講師を担当したことがありました。その際に受講してくださった愛知県教育委員会の方から研修講師のご依頼をいただき、当初はファシリテーション研修をご希望だったのですが、対象者をお聞きして「アサーティブ・コミュニケーション」のほうがよいのではないかと思い、ご提案したところ、どういう内容なのかという話になり、「実は12日に千種生涯学習センターで行うのですが」とお話ししたところ、その方も見学に来てくださいました。そして、ワークにもご参加いただき、実際の体験を通じて「これは面白いし、勉強になります」と内容も気に入っていただくことができました。
私たちの日常はそのとき、そのときの行動の積み重ねによって次の現実が生まれていきます。そして、どのようなコミュニケーションをとっているかによって、お互いの人間関係が形成されていきます。そう考えると、今の私にとってのアウトプットのひとつである講座や研修、授業を通じて、つながりが育まれ、新しい現実が生まれていくのは、とてもうれしいことです。そうそう、講座を通じて出会った方だけでなく、千種生涯学習センターの講座には、何と私の中学・高校時代の同級生も受講生として参加してくれました。「千種区在住で近いから」ということでしたが、彼女も「面白かった!」と言ってくれてうれしかったです。
講座では導入部分のみのご紹介でしたが、受講生のみなさんがこれから、ご自身の学びをどんどん広げていかれるといいなと思っています。私は受託研修・講座だけでなく、JIEL公開講座でも3日間集中の「アサーション・トレーニング」を年1回開催しています。「アサーション・トレーニング」はアサーティブなコミュニケーションを習得するためのトレーニングで、今年は7月18、19、20日の3連休に名古屋市天白区原にあるHCCで開催します。4月から受付開始ですが、現在も先行予約受付中ですので、これをお読みの皆様もぜひチェックして、早めに日程確保とお申し込みをいただけるとうれしいです。
※JIELホームページのトップページ 「ラボラトリー体験学習ステップアッププログラム」の一番下に「アサーション・トレーニング」として記載されています。http://www.jiel.jp
2014年11月12日
ひとときの変化
ある勉強会でよく会う方が、1年前は妊婦だったのに今は子ども連れでいらっしゃいます。お子さんは会うたびに大きくなり、生後半年以上経った今はハイハイが上手です。頬が赤く健康的で、みんなの視線を釘付けにするかわいい笑顔が魅力。そんなお子さんの成長を見ていると、自分はこの1年間で何が変わったのかな、と思わず反省してしまいます。
昨日は母が人工関節を入れる手術を受け、夜、病院へ術後の様子を見に行くと大変痛がっていて心配になりました。痛みどめの点滴を使用規程ギリギリの頻度で使っても収まる気配がなく、途方に暮れる気分でした。とはいえ、私が心配に明け暮れても母の回復とは関係がないので、今日は朝から大学で仕事をして、夜8時頃に再び病院を訪ねてみました。
すると、昨日は身動きもできず、ひたすら痛みを訴えていた母が何とベッドで半身を起こしていたのです。今日は普通に話すことができ、買っていったヨーグルトを「おいしい」と言いながら自分で食べてくれました。たった1日でこの変化は驚きです。しかも、病院の食事はとてもおいしく完食したと言います。人間の強さ、生命力を感じました。
人が生きること、生きる力は素晴らしい。日常の目先のことに追われていると、そんなことを忘れてしまいがちですが、今日は母の変化を見てうれしく思うと同時に、自分にもこういう力があるのだと思いました。生きる力を大切にしたい。日常の出来事や一つひとつの体験をもっと味わい、楽しんでいきたいと思いました。
昨日は母が人工関節を入れる手術を受け、夜、病院へ術後の様子を見に行くと大変痛がっていて心配になりました。痛みどめの点滴を使用規程ギリギリの頻度で使っても収まる気配がなく、途方に暮れる気分でした。とはいえ、私が心配に明け暮れても母の回復とは関係がないので、今日は朝から大学で仕事をして、夜8時頃に再び病院を訪ねてみました。
すると、昨日は身動きもできず、ひたすら痛みを訴えていた母が何とベッドで半身を起こしていたのです。今日は普通に話すことができ、買っていったヨーグルトを「おいしい」と言いながら自分で食べてくれました。たった1日でこの変化は驚きです。しかも、病院の食事はとてもおいしく完食したと言います。人間の強さ、生命力を感じました。
人が生きること、生きる力は素晴らしい。日常の目先のことに追われていると、そんなことを忘れてしまいがちですが、今日は母の変化を見てうれしく思うと同時に、自分にもこういう力があるのだと思いました。生きる力を大切にしたい。日常の出来事や一つひとつの体験をもっと味わい、楽しんでいきたいと思いました。
2014年09月27日
【女性セミナー】 今までの“私”これからの“私”〜心を見つめて〜

昨日、打合せに行ってきて、講座そのものがしっかり企画されていることに感心しました。カウンセラーの話をもとに、ありのままの自分の心との向き合い方を考える1回目から、箱庭療法の先生のもとで実際にバウムテストをやってみながら自分を知る2回目、交流分析を通じて自分のコミュニケーションを知る3回目、そして私が担当する4回目のアサーティブ・コミュニケーションへと続きます。さらに、5回目は映画にみるロールモデル、6回目は自分の好きなことを深めて紅茶専門店を経営する女性のお話、7回目は講座のまとめとして、自分と社会の新しいつながりを考える回ということで、毎回その分野の専門家が担当してリレー形式で進める展開とその構成が面白いと思いました。女性のキャリア、社会化というと、具体的な経験・スキルに焦点が当たりがちですが、「心」という目には見えないものに焦点を当てた講座であることも注目に値します。
こうした講座を企画された方が、私が担当するアサーション・トレーニングの評判をきき、関心を持ってくださったことも大変うれしく思います。プログラムの画像をご覧いただくとわかりますが、1月15日から3月5日まで毎週木曜日10:00から12:00までの講座です。120分という限られた時間ですが、私は簡単なエクササイズを交えて、体験からの学びも得られる講座にします。よかったら、ぜひご参加ください。
受講料は無料ですが、お茶とお菓子代として毎回800円かかるそうで、それは6回目に登場する方の紅茶専門店のお茶とお菓子とのこと。そういう発想の柔軟さも素敵だと思います。
お申込は以下のURLの最下部にある「名古屋市電子サービスはこちら」をクリックすると、WEB上でできます。
http://www.suisin.city.nagoya.jp/system/lecture/index.cgi?action=lect_view&key=00009472&search_flag=1&search_type=and&search_key=&search_instname=千種生涯&search_viewtime=午前&search_week=木&search_obj=&search_exprange=&search_field=
2014年08月08日
日常の中のコンテントとプロセス
「人間関係を観る2つの視点」ということで、よく「コンテントとプロセス」の小講義を行います。
「何をしているか」というときの「何」に当たる「コンテント」は、仕事、課題、話題、結果等を指し、日常の中でも人は明確に意識しています。それは、人の言動や各種ツールによって表される目に見える部分だからということもあるでしょう。一方、プロセスは「どのようにしているか」という視点で現象を捉えるときの「どのように」に現れやすい人の気持ちや考え、価値観といった人間の中に内在するものや、仕事のやり方や手順等の現象を支えるものを指します。
コンテントとプロセスを意識するようになると、日常の中でもプロセスに敏感になり、「今、この人はなぜこんなことをやっているのかがわからなくて、懸念がいっぱいでそれを表明したいんだな」と思ったり、「さっきまで硬い表情だったけど、思わぬ自分の言い間違いで笑っちゃってからは、糸がほどけたようにしなやかにこの場の空気に順応できて安心」と思ったりします。一つひとつの事実や現象をコンテントとプロセスに分けて観るというよりは、事実や現象の捉え方が多面的になり、コンテントとプロセスの関係もわかってきて、日常の場面、場面がさらに楽しくなる気がします。楽しいばかりでなく、考えさせられたり、気づかされたり、次の行動を喚起されることも多々ありますが。
昨日、言葉を発するたびにみんなを笑わせていた人がいました。その人に「何か今日は調子がいいね。テンションが高いんですか?」と尋ねたら、「いや、思ったことを言っているだけ」と言われて、「えー、そんなにいつも楽しいことが浮かんでるんだ。じゃあ、どんどん言わないと」と思わず返しました。すると、その場にいた人が、「効率より楽しさのほうが大事?」と尋ねてきたので、私は「もちろん。笑って楽しく過ごして、幸せになるために生きているんだから、効率より圧倒的に大事」と瞬間的に笑顔で答えました。すると、その場はさらに笑いに包まれました。今、そのときのことを思い出して、本当にそうだなと思います。そして、きっとそんなときのほうが、そこにかかわっている人の仕事へのモチベーションは高い気がします。プロセスを大事にすると、コンテントにも良い影響が及ぶし、そこにいる人たちの幸福感も増していく。それが実感できた瞬間でした。
「何をしているか」というときの「何」に当たる「コンテント」は、仕事、課題、話題、結果等を指し、日常の中でも人は明確に意識しています。それは、人の言動や各種ツールによって表される目に見える部分だからということもあるでしょう。一方、プロセスは「どのようにしているか」という視点で現象を捉えるときの「どのように」に現れやすい人の気持ちや考え、価値観といった人間の中に内在するものや、仕事のやり方や手順等の現象を支えるものを指します。
コンテントとプロセスを意識するようになると、日常の中でもプロセスに敏感になり、「今、この人はなぜこんなことをやっているのかがわからなくて、懸念がいっぱいでそれを表明したいんだな」と思ったり、「さっきまで硬い表情だったけど、思わぬ自分の言い間違いで笑っちゃってからは、糸がほどけたようにしなやかにこの場の空気に順応できて安心」と思ったりします。一つひとつの事実や現象をコンテントとプロセスに分けて観るというよりは、事実や現象の捉え方が多面的になり、コンテントとプロセスの関係もわかってきて、日常の場面、場面がさらに楽しくなる気がします。楽しいばかりでなく、考えさせられたり、気づかされたり、次の行動を喚起されることも多々ありますが。
昨日、言葉を発するたびにみんなを笑わせていた人がいました。その人に「何か今日は調子がいいね。テンションが高いんですか?」と尋ねたら、「いや、思ったことを言っているだけ」と言われて、「えー、そんなにいつも楽しいことが浮かんでるんだ。じゃあ、どんどん言わないと」と思わず返しました。すると、その場にいた人が、「効率より楽しさのほうが大事?」と尋ねてきたので、私は「もちろん。笑って楽しく過ごして、幸せになるために生きているんだから、効率より圧倒的に大事」と瞬間的に笑顔で答えました。すると、その場はさらに笑いに包まれました。今、そのときのことを思い出して、本当にそうだなと思います。そして、きっとそんなときのほうが、そこにかかわっている人の仕事へのモチベーションは高い気がします。プロセスを大事にすると、コンテントにも良い影響が及ぶし、そこにいる人たちの幸福感も増していく。それが実感できた瞬間でした。
2014年05月11日
JIEL公開講座 会場の使い方
アサーション・トレーニングは単なるスキルトレーニングではなく、人とのかかわりのなかで、自分の気持ちや考えを表現し、主体的に今を生きていくためのトレーニングです。そして、「自分の気持ちや考えを表現し、主体的に今を生きる」権利はどんな人にもあるので、アサーション・トレーニングでは自他尊重のコミュニケーション、自他尊重の関係づくりを目指します。
そんな講座の中では、参加者同士のフィードバックや話し合いを重視します。そこで、今回は講座の会場である私たちのホームグラウンド HCC(ヒューマンコラボレーションセンター)をいつもの長机ではなく、丸テーブルで使ってみました。写真の通り、テーブルごとに親近感を持って話せる気軽な空間になり、こうした会場の使い方もなかなかいいものだと思いました。
今年はJIEL公開講座が目白押しです。講座内容に合ったアレンジで、参加者の皆様をお迎えしたいと考えていますので、お楽しみに!

2014年04月12日
移り変わる景色のなかで
4月から某私立大学の助教になりました。
20代の頃からライターとして活動し、30代は広告制作に没頭して、40歳を過ぎてから社会人大学院生として、若い頃に親しんだ「ラボラトリー方式の体験学習」の実践と研究に再び取り組むようになった私にとっては、新しい世界です。
一昨日、歓迎会があり、そこで年代や職位・職種の壁を感じさせない温かく、面白く、どこまでもにぎやかな宴を体験しました。とても楽しくオープンな雰囲気で、先生がたや職員さんたちの気さくで温かい人間性に安心感が湧くとともに、何人かの先生のお話を伺って、新しい世界への関心が大いにふくらみました。
そして、昨日は卒業した大学院の教育ファシリテーション専攻の新入生歓迎パーティーでした。こちらは一期生から各期の修了生が一堂に集まり、買ってきた食材を合同研究室に広げて行った立食パーティーでした。その手づくり感覚が教育ファシリらしく(M2のみなさん、準備ありがとう!)、何とパーティー前には修了生による「教育ファシリテーション専攻の未来を考える」ダイアログもあり、修了生の教育ファシリへの思いの強さを感じました。
人生の景色は時とともに移り変わっていきます。
その景色の一つひとつに感謝し根を下ろして、そこにいる自分としてできること、やりたいことをやっていきたいと思います。
20代の頃からライターとして活動し、30代は広告制作に没頭して、40歳を過ぎてから社会人大学院生として、若い頃に親しんだ「ラボラトリー方式の体験学習」の実践と研究に再び取り組むようになった私にとっては、新しい世界です。
一昨日、歓迎会があり、そこで年代や職位・職種の壁を感じさせない温かく、面白く、どこまでもにぎやかな宴を体験しました。とても楽しくオープンな雰囲気で、先生がたや職員さんたちの気さくで温かい人間性に安心感が湧くとともに、何人かの先生のお話を伺って、新しい世界への関心が大いにふくらみました。
そして、昨日は卒業した大学院の教育ファシリテーション専攻の新入生歓迎パーティーでした。こちらは一期生から各期の修了生が一堂に集まり、買ってきた食材を合同研究室に広げて行った立食パーティーでした。その手づくり感覚が教育ファシリらしく(M2のみなさん、準備ありがとう!)、何とパーティー前には修了生による「教育ファシリテーション専攻の未来を考える」ダイアログもあり、修了生の教育ファシリへの思いの強さを感じました。
人生の景色は時とともに移り変わっていきます。
その景色の一つひとつに感謝し根を下ろして、そこにいる自分としてできること、やりたいことをやっていきたいと思います。
2014年03月09日
コミュニケーションは人間関係
JIEL公開講座でおなじみの星野欣生先生は、「コミュニケーションは人間関係です」とよく言われます。私は初めてその言葉をきいたとき、「言われてみれば、本当にそうだ」と納得しました。心の中でどう思っていたとしても、現実のコミュニケーションがよそよそしいものであれば、人間関係もよそよそしいものでしょうし、コミュニケーションが丁寧で受容的であれば、安心できる人間関係が築かれていくでしょう。
私はJIEL公開講座で「アサーション・トレーニング」を担当しています。アサーション・トレーニングは、自らの気持ちや考えを正直に、率直にその場に合った適切な方法で表現するためのトレーニングです。それはコミュニケーションのトレーニングであると同時に、人間関係を築くためのトレーニングでもあります。攻撃的な表現ばかりしていると、相手を脅かしたり、防衛的にさせたりして、敬遠されるかもしれません。逆に従順に他者の意見や意向に追随してばかりいると、対等な人間関係を結ぶことが難しくなってしまうこともあり得るでしょう。まさに、コミュニケーションは人間関係なのです。
私はコミュニケーションに正解はなく、多様であっていいと考えています。しかし同時に、人は誰もが他者と対等な存在だとも考えているので、自分が人と対等にかかわるための知識やスキル、トレーニングは多くの人とともに学び、実践していきたいと思っています。
今年の「アサーション・トレーニング」は、5月3・4・5日の3日間。全くの基礎から事例を扱う演習まで行いますので、「アサーション」という言葉を初めてきいた人の参加も歓迎します。ただいま、参加者募集中ですので、詳細を次のURLでご覧の上、ぜひお申込ください。
http://www.jiel.jp/kouza-mizuno-assert2014.htm
私はJIEL公開講座で「アサーション・トレーニング」を担当しています。アサーション・トレーニングは、自らの気持ちや考えを正直に、率直にその場に合った適切な方法で表現するためのトレーニングです。それはコミュニケーションのトレーニングであると同時に、人間関係を築くためのトレーニングでもあります。攻撃的な表現ばかりしていると、相手を脅かしたり、防衛的にさせたりして、敬遠されるかもしれません。逆に従順に他者の意見や意向に追随してばかりいると、対等な人間関係を結ぶことが難しくなってしまうこともあり得るでしょう。まさに、コミュニケーションは人間関係なのです。
私はコミュニケーションに正解はなく、多様であっていいと考えています。しかし同時に、人は誰もが他者と対等な存在だとも考えているので、自分が人と対等にかかわるための知識やスキル、トレーニングは多くの人とともに学び、実践していきたいと思っています。
今年の「アサーション・トレーニング」は、5月3・4・5日の3日間。全くの基礎から事例を扱う演習まで行いますので、「アサーション」という言葉を初めてきいた人の参加も歓迎します。ただいま、参加者募集中ですので、詳細を次のURLでご覧の上、ぜひお申込ください。
http://www.jiel.jp/kouza-mizuno-assert2014.htm
2014年01月13日
実践 人間関係づくりファシリテーション
昨年末、私たち日本体験学習研究所の研究員がみんなで書いた本、「実践 人間関係づくりファシリテーション」が刊行されました。
http://www.kanekoshobo.co.jp/np/isbn/9784760826476/
この本は、1)心理学や教育学、人間関係論等に詳しくない人でも自らの日常に照らし合わせて読み進むことができる、2)ファシリテーターとして自分で学びの場をつくろうとする人が、ポイントを押さえて小講義とラボラトリー方式による体験学習のエクササイズを提供できる、という2大特長を備えていて、すべての章が次のような構成になっています。
1.具体的な事例を挙げた問いかけの導入「あなたならどうしますか?」
2.テーマについての小講義
3.実際に活用できる体験学習のエクササイズ
4.エクササイズを行ったあとのファシリテーターのコメント参考例
5.章のまとめの小講義
6.ファシリテーションを行う上でのテーマの重要性
例えば、私が担当した第6章「受け容れる」の場合、1の導入部分では、A)社員同士が挨拶さえしない企業で働く社員の事例、B)シャツにアイロンをかけた母親に対する息子の応答を挙げ、読者に自分ならどうするかを問いかけています。2の小講義「受け容れるとは」では、A)を受けて挨拶という行動がもつ受容の機能を、B)を受けて立場の違いを超えて相手を受容するために必要な行動を紹介し、その上でロジャーズによるカウンセラーの基本的態度「受容/共感的理解/自己一致」の3点を挙げて、受容と共感的理解の必要性を述べました。3のエクササイズは、そこまでに述べたことを実際に体験できるように合意形成の実習を紹介しています。4は3の実習を終えた学習者に、ファシリテーターが実習を行った意味や実習で起こりがちな現象を解説し、内省を促すコメントです。5ではそれまでの学びや気づきをさらに一般化し、自己受容と他者受容により自分自身の感情や認知、お互いの関係性が変容していくことを具体的な事例を挙げて述べました。6はファシリテーターを務める際に、目の前の学習者や自分自身の言動、そしてその場の状況を受け容れることの大切さを紹介しています。2と5の小講義は、私が公開講座で行う「アサーション・トレーニング」にも通じる重要な考え方であり、6のファシリテーターとしての心得は私自身にとっても大切な教訓です。
こうした流れで各章が書かれている「実践 人間関係づくりファシリテーション」は、そのまま学びの場に活用できる、まさに実践的な本です。多くのみなさんにお役立ていただけるとうれしいし、2014年度はこの本に基づいたJIEL公開講座の開催も予定していますので、ぜひ楽しみにしていてください。
http://www.kanekoshobo.co.jp/np/isbn/9784760826476/
この本は、1)心理学や教育学、人間関係論等に詳しくない人でも自らの日常に照らし合わせて読み進むことができる、2)ファシリテーターとして自分で学びの場をつくろうとする人が、ポイントを押さえて小講義とラボラトリー方式による体験学習のエクササイズを提供できる、という2大特長を備えていて、すべての章が次のような構成になっています。
1.具体的な事例を挙げた問いかけの導入「あなたならどうしますか?」
2.テーマについての小講義
3.実際に活用できる体験学習のエクササイズ
4.エクササイズを行ったあとのファシリテーターのコメント参考例
5.章のまとめの小講義
6.ファシリテーションを行う上でのテーマの重要性
例えば、私が担当した第6章「受け容れる」の場合、1の導入部分では、A)社員同士が挨拶さえしない企業で働く社員の事例、B)シャツにアイロンをかけた母親に対する息子の応答を挙げ、読者に自分ならどうするかを問いかけています。2の小講義「受け容れるとは」では、A)を受けて挨拶という行動がもつ受容の機能を、B)を受けて立場の違いを超えて相手を受容するために必要な行動を紹介し、その上でロジャーズによるカウンセラーの基本的態度「受容/共感的理解/自己一致」の3点を挙げて、受容と共感的理解の必要性を述べました。3のエクササイズは、そこまでに述べたことを実際に体験できるように合意形成の実習を紹介しています。4は3の実習を終えた学習者に、ファシリテーターが実習を行った意味や実習で起こりがちな現象を解説し、内省を促すコメントです。5ではそれまでの学びや気づきをさらに一般化し、自己受容と他者受容により自分自身の感情や認知、お互いの関係性が変容していくことを具体的な事例を挙げて述べました。6はファシリテーターを務める際に、目の前の学習者や自分自身の言動、そしてその場の状況を受け容れることの大切さを紹介しています。2と5の小講義は、私が公開講座で行う「アサーション・トレーニング」にも通じる重要な考え方であり、6のファシリテーターとしての心得は私自身にとっても大切な教訓です。
こうした流れで各章が書かれている「実践 人間関係づくりファシリテーション」は、そのまま学びの場に活用できる、まさに実践的な本です。多くのみなさんにお役立ていただけるとうれしいし、2014年度はこの本に基づいたJIEL公開講座の開催も予定していますので、ぜひ楽しみにしていてください。
2013年12月10日
真面目に語り合うこと
先日、中学1年生の生徒さんを対象に、ラボラトリー方式の体験学習を用いた半日授業を行いました。そのときに自分を支えてくれた人や今、支えてくれている人たちを色や形で描いて、自分の対人地図をつくる「わたしの対人地図」という実習を実施しました。多くの生徒さんが熱心に対人地図を書き、ふりかえりの時間には人それぞれに自分の思うことを素直な言葉で綴りました。ただ、わかちあいの時間になると、ふりかえり用紙に綴ったコメントをそのまま読むこともままならず、一部分を読むだけで発言の順番を終えてしまう生徒さんがあちこちにいて、ちょっぴり残念に思いました。
ところが、授業の合間の放課中に3人の女の子たちに「どうだった?」と話しかけてみると、一人の子が「対人地図をやったあとのわかちあいで、初めて男の子と真剣に話しました」と言ったのです。そんなグループがあったとは気づかなかったので、「えっ、本当?どんなふうに話したの?」と興味津々で尋ねました。すると、その子は「男子がすごくていねいに自分と対人地図に書いた人たちとのつながりを話してくれて、私はそんなふうに男子と話したことがなかったから、うれしかった」と笑顔で答えてくれました。それを聞いて、私もうれしくなりました。
人間には真剣に語り合える他者の存在が必要です。特に自分の気持ちの動きや環境の変化を感じやすい思春期は、自分の思いや考えを真面目に話せる他者がいることで、随分ラクになったり、逆に刺激を受けたり、あるいは思考を修正できることもあったりして助かります。そういう他者の存在はなかなか見つけにくいものですが、一度でも真剣に人と話す経験が持てれば、それ以降は茶化すことなく話すタイミングや感覚がつかめるようになるのではないかと思います。私はこの体験学習のわかちあいが、彼女たちにとってそんなきっかけになるといいと思いました。そして、そういう人間関係を築くことができれば、大人になっても他者に同調するだけの表面的な関係に終始せず、必要なときには人と真剣に向かい合えるようになっていく気がします。
ところが、授業の合間の放課中に3人の女の子たちに「どうだった?」と話しかけてみると、一人の子が「対人地図をやったあとのわかちあいで、初めて男の子と真剣に話しました」と言ったのです。そんなグループがあったとは気づかなかったので、「えっ、本当?どんなふうに話したの?」と興味津々で尋ねました。すると、その子は「男子がすごくていねいに自分と対人地図に書いた人たちとのつながりを話してくれて、私はそんなふうに男子と話したことがなかったから、うれしかった」と笑顔で答えてくれました。それを聞いて、私もうれしくなりました。
人間には真剣に語り合える他者の存在が必要です。特に自分の気持ちの動きや環境の変化を感じやすい思春期は、自分の思いや考えを真面目に話せる他者がいることで、随分ラクになったり、逆に刺激を受けたり、あるいは思考を修正できることもあったりして助かります。そういう他者の存在はなかなか見つけにくいものですが、一度でも真剣に人と話す経験が持てれば、それ以降は茶化すことなく話すタイミングや感覚がつかめるようになるのではないかと思います。私はこの体験学習のわかちあいが、彼女たちにとってそんなきっかけになるといいと思いました。そして、そういう人間関係を築くことができれば、大人になっても他者に同調するだけの表面的な関係に終始せず、必要なときには人と真剣に向かい合えるようになっていく気がします。
2013年11月08日
地域の力
http://bluepark-ano.com/
ここは何と阿納地区の民宿を経営するみなさんが、「体験の機会を提供することで、多くの子どもたちを受け入れたい」と一念発起して開設し、現在も協同で運営する施設です。今でこそ、魚をさばく調理室や魚を焼いて食べるバーベキュースペースには屋根がありますが、開設当初は建築用の足場を組んで支柱にし、ブルーシートをかけて屋根にしていたというから驚きです。本当に手づくりの施設です。 そんな「ブルーパーク阿納」を知ったのは、10月31日、11月1日と若狭観光連盟主催の研修で福井県へ行き、31日の夜はその「ブルーパーク阿納」を運営する阿納地区の民宿、「グルメ民宿はまもと」さんに泊まったからです。女将である浜本さんは研修にも参加されていて、1日の早朝、私を「ブルーパーク阿納」へ案内してくださいました。
日本海の大海原を見晴らせるリアス式海岸の湾内にある「ブルーパーク阿納」は、海の釣り堀というだけあって広々としていて穏やかな印象です。釣りが初めての子どもたちも、きっと挑戦したくなりそうな開放感があります。そんな釣り堀を目前にした岸壁には、屋根付のバーベキュースペースがあり、その奥には魚をさばく調理室があります。いずれも小学校や中学校の生徒の受け入れを念頭においてつくられた施設だけあって、最大154名収容という広さです。
なかでも感心したのは、調理室にまつわる多くの工夫でした。例えば、調理室の水道は調理位置ごとに蛇口があるわけではなく、一列ずつ水道パイプを通して調理位置に穴をあけ、その列の蛇口を開ければ、どこも均一な水量で魚を洗えるようになっています。これは、ブルーパークが行政や企業によってつくられた施設ではなく、民宿のみなさんが手づくりでつくった施設なので、蛇口のような高価なものをたくさん買う資金がなく、苦肉の策で考えた方法だったそうです。ところが、実際に列ごとに通した水道パイプに穴を開けて、魚さばき体験を始めてみると、生の魚に触れたことのない子の中には放っておくといつまでも魚を洗い続けている子もいて、列ごとに一律に水を加減できるほうが返って都合がいいこともありました。
そして、圧巻は魚のさばき方の指導とさばき体験のサポートです。魚のさばき方は紙芝居形式で教えるとともに、発泡スチロールでつくった大きなプラカードくらいの大きさの包丁を使って、包丁の動かし方や刃の向きを説明します。それに加えて、調理室には箇条書きにした手順が列ごとに見える場所に貼ってあり、何と生徒受け入れの際には民宿の方々が総出で列ごとに付いて、鯛の半身は刺身に、残りの半身は焼魚用に全員がおろせるようにサポートしているといいます。その際のスタッフ配置表を見せていただいたところ、苗字の表記は一切なく、全員「みどり」「新一」等と名前で表記されていました。「家族全員が手伝うから、苗字で呼んでたら誰かわからないんです」と浜本さん。まさに家族総出です。
「ブルーパーク阿納」は成り立ちも、運営する日常も、常に関係者が知恵と力をふり絞って一歩ずつ歩みを進めています。その存在自体が、民宿のみなさんの絆の証であり、それを続けることでお互いの関係がどんどん深まり、地域の力が強くなっているのだと思いました。そうした地域の力こそ、これからの時代を生き抜くには何よりも大きい財産ではないでしょうか。
2013年08月10日
2013年07月08日
ファシリテーターと司会の違い
先週も様子を書きましたが、今、名古屋市女性会館のなごや女性カレッジにて「体感!ファシリテーション」という5回シリーズの講座を研究員の岸田さんとともに担当しています。私たちが定義するファシリテーターとは、体験からの学びを援助・促進する人であり、援助・促進のためにメンバーやグループのプロセスに働きかけます。これは講座の1回目から何度も説明してきたことですが、概念的に理解することはできても、実際にどんなことなのかはやってみないと、なかなかわかりません。
そこで、昨日はグループごとにファシリテーター、司会、タイムキーパーの役割を決めて合意形成の実習にチャレンジしてもらいました。すると、役割決めの段階で「ファシリテーターと司会は違うんですか?」と質問してくれた方がいました、重要なポイントです。一般的には司会・進行とファシリテーターを兼ねる場合が多くありますが、両方やりながらプロセスに働きかけるのは結構高度です。時にはグループや個々人のプロセスよりも、課題達成に向けてとにかく進めたくなることもあるでしょう。そんなとき、司会とファシリテーターの役割が別々であれば、司会の進め方が速すぎると感じたときは、メンバーに「先に進んで大丈夫ですか?」と確認するなど、実際に働きかけることができます。
つまり、コンテントの成果(課題達成)のために、課題の進め方を考えていくのが司会の主な仕事であり、その過程で起こるさまざまなメンバー間の言動に注目し、見えない感情や思考(プロセス)を問いかけによって明らかにしながら、前へ進む意欲や積極的になれるような安心感を引き出していくのがファシリテーターの主な仕事です。それぞれ関連していますが、重点のおき場所が違います。
司会・進行とファシリテーターを兼ねる場合は、その場のメンバーの様子を見てプロセスに働きかけるために、進行のアプローチを変えることもあるでしょう。しかし、講座では負担が大きくなりがちな司会・進行は一旦別の人に預けて、ファシリテーター役には実際にプロセスを観て、働きかけることにチャレンジしてほしいと考えています。
こうしたファシリテーターと司会の違いは実習やふりかえり、わかちあいの終了後も話題になり、多くの方が関心を持っていました。その際に「やっぱり、よくわからない」と言っていた方に、別のグループでファシリテーター役を担当した方が、自分はどんなふうにファシリテーターとしての仕事をしたかを具体的に話して、最後に「これは司会とは全く違った視点で、司会ではできない言葉がけだったと思います」と発言してくれた内容は、わかりやすく印象的でした。今ここでの体験から生まれた気づきや学びには力があると思いました。こうしたお互いに学び合える関係性を大切にして、最終回の次回に臨みます。
そこで、昨日はグループごとにファシリテーター、司会、タイムキーパーの役割を決めて合意形成の実習にチャレンジしてもらいました。すると、役割決めの段階で「ファシリテーターと司会は違うんですか?」と質問してくれた方がいました、重要なポイントです。一般的には司会・進行とファシリテーターを兼ねる場合が多くありますが、両方やりながらプロセスに働きかけるのは結構高度です。時にはグループや個々人のプロセスよりも、課題達成に向けてとにかく進めたくなることもあるでしょう。そんなとき、司会とファシリテーターの役割が別々であれば、司会の進め方が速すぎると感じたときは、メンバーに「先に進んで大丈夫ですか?」と確認するなど、実際に働きかけることができます。
つまり、コンテントの成果(課題達成)のために、課題の進め方を考えていくのが司会の主な仕事であり、その過程で起こるさまざまなメンバー間の言動に注目し、見えない感情や思考(プロセス)を問いかけによって明らかにしながら、前へ進む意欲や積極的になれるような安心感を引き出していくのがファシリテーターの主な仕事です。それぞれ関連していますが、重点のおき場所が違います。
司会・進行とファシリテーターを兼ねる場合は、その場のメンバーの様子を見てプロセスに働きかけるために、進行のアプローチを変えることもあるでしょう。しかし、講座では負担が大きくなりがちな司会・進行は一旦別の人に預けて、ファシリテーター役には実際にプロセスを観て、働きかけることにチャレンジしてほしいと考えています。
こうしたファシリテーターと司会の違いは実習やふりかえり、わかちあいの終了後も話題になり、多くの方が関心を持っていました。その際に「やっぱり、よくわからない」と言っていた方に、別のグループでファシリテーター役を担当した方が、自分はどんなふうにファシリテーターとしての仕事をしたかを具体的に話して、最後に「これは司会とは全く違った視点で、司会ではできない言葉がけだったと思います」と発言してくれた内容は、わかりやすく印象的でした。今ここでの体験から生まれた気づきや学びには力があると思いました。こうしたお互いに学び合える関係性を大切にして、最終回の次回に臨みます。
2013年06月30日
学びの場はみんなでつくるもの
今年6月から7月にかけて、JIEL研究員の岸田と水野の2人で「体感!ファシリテーション」という5回シリーズの講座を担当しています。これは名古屋市女性会館が「なごや女性カレッジ」の講座として企画してくださったもので、申し込み開始と同時にな、なんと70名近くの方がお申し込みくださった経緯があります。
そこから抽選で選ばれた36名の参加者のみなさんは実に意欲的で、毎回、楽しく真剣に講座に参加してくださいます。
昨日はその第3回の講座で、またまた盛り上がりました!昨日のテーマは「リーダーシップとは何かを理解する」。実習のときは制限時間を振り切ってでも^^; やり遂げようとした参加者のみなさんが、ふりかえり・わかちあいになると、各メンバーのリーダーシップが発揮された場面を具体的に挙げて、それをどのように感じたかを丁寧に語り合いました。
3回目とはいえ、リーダーシップに注目するのは、みなさんきっと初めてです。フィードバックについては、第2回のときに対人関係のモデル「ジョハリの窓」を交えて、その必要性を説明したものの、昨日は実際にフィードバックするときの留意点をお伝えしただけでした。ところが、「たくさんのコメントをもらって、みんながどんなふうに自分を見てくれていたかがわかりました。ちょっと気恥ずかしいけどうれしいです」なんて言葉がきかれるくらい、ホットで安心して語り合える雰囲気になりました。
実習の課題や小講義の内容について、わからないことはどんどん質問してくださる参加者のみなさんは、わかちあいの後に「今、話したことや感じたことをを他のグループのみなさんににシェアしてください」と呼びかければ、今では自分から手を挙げてシェアしてくださる方が多く、その場にいるみんなの学びが促進されることを実感しています。
学びの場はその場にいるみんなでつくるもの。第1回のときにそんなお話をみなさんにしましたが、実際に多くの参加者のみなさんがリーダーシップを発揮して、学びの場を共につくってくださる講座になり、うれしく思います。
そこから抽選で選ばれた36名の参加者のみなさんは実に意欲的で、毎回、楽しく真剣に講座に参加してくださいます。
昨日はその第3回の講座で、またまた盛り上がりました!昨日のテーマは「リーダーシップとは何かを理解する」。実習のときは制限時間を振り切ってでも^^; やり遂げようとした参加者のみなさんが、ふりかえり・わかちあいになると、各メンバーのリーダーシップが発揮された場面を具体的に挙げて、それをどのように感じたかを丁寧に語り合いました。
3回目とはいえ、リーダーシップに注目するのは、みなさんきっと初めてです。フィードバックについては、第2回のときに対人関係のモデル「ジョハリの窓」を交えて、その必要性を説明したものの、昨日は実際にフィードバックするときの留意点をお伝えしただけでした。ところが、「たくさんのコメントをもらって、みんながどんなふうに自分を見てくれていたかがわかりました。ちょっと気恥ずかしいけどうれしいです」なんて言葉がきかれるくらい、ホットで安心して語り合える雰囲気になりました。
実習の課題や小講義の内容について、わからないことはどんどん質問してくださる参加者のみなさんは、わかちあいの後に「今、話したことや感じたことをを他のグループのみなさんににシェアしてください」と呼びかければ、今では自分から手を挙げてシェアしてくださる方が多く、その場にいるみんなの学びが促進されることを実感しています。
学びの場はその場にいるみんなでつくるもの。第1回のときにそんなお話をみなさんにしましたが、実際に多くの参加者のみなさんがリーダーシップを発揮して、学びの場を共につくってくださる講座になり、うれしく思います。
2013年04月11日
アサーショントレーニング
5月3日〜5日まで、ゴールデンウィークの3日間、JIEL公開講座でアサーショントレーニング「私も、あなたも大切にするコミュニケーション」を開催します。
★詳細はこちらからご覧ください。 http://www.jiel.jp/kouza-mizuno-assert2013.htm
アサーションは人間尊重、人権を大切にする考え方から生まれたコミュニケーションの方法であり、人とのかかわり方、人のあり方でもあります。かつては人としての権利が認められていなかった黒人や女性たちが、まずは自分が自らの思いや考えを言葉にして表現し、自分を大切にしようと活用されてきました。
確かに自分の気持ちや思い、考えは、自分で表現しなければ、人には伝わりません。一人ひとりが自分の世界で生きている人間は、言動や態度を通じて他者との相互作用を繰り返し、誰もが望ましい現実を生み出していくことに取り組んでいます。そんな日常ではアサーティブに自己表現できるかどうかによって、生まれてくる現実が変わっていきます。
私にとって、アサーショントレーニングは自分とは違う人たちともつながっていくために必要な学びです。自分と似た考え方、感受性を持った人とはつきあいやすいけれど、自分と異なるタイプの人とは、正直に、率直に語り合うことさえ、大変なことがあります。けれど、そういう人たちとつながることで新たなアイデアが生まれるし、世界が広がっていく。それに気づいて、「アサーティブになりたい」と思うようになりました。
JIEL研究員として、私は看護系の大学院や医療の専門学校でアサーショントレーニングの集中講義をやらせていただいています。けれど、医療人に限らず、一般の方々にもアサーショントレーニングは役立ちます。自分に負荷をかけ過ぎることなく、メンタル面の健康を守りながら、多様な人たちとかかわっていくために、アサーティブなコミュニケーションは大きな力になります。
今回の講座では3日間かけて少人数でロールプレイを交えて、アサーションにじっくり取り組みます。公開講座だからこそ、一人ひとりの参加者のみなさんに自分が日常でアサーションを実践するヒントを見つけていただきたいと思っています。あと若干名の申込受付が可能です。よろしければ、ぜひ上記URLの講座内容をチェックしてみてください。
★詳細はこちらからご覧ください。 http://www.jiel.jp/kouza-mizuno-assert2013.htm
アサーションは人間尊重、人権を大切にする考え方から生まれたコミュニケーションの方法であり、人とのかかわり方、人のあり方でもあります。かつては人としての権利が認められていなかった黒人や女性たちが、まずは自分が自らの思いや考えを言葉にして表現し、自分を大切にしようと活用されてきました。
確かに自分の気持ちや思い、考えは、自分で表現しなければ、人には伝わりません。一人ひとりが自分の世界で生きている人間は、言動や態度を通じて他者との相互作用を繰り返し、誰もが望ましい現実を生み出していくことに取り組んでいます。そんな日常ではアサーティブに自己表現できるかどうかによって、生まれてくる現実が変わっていきます。
私にとって、アサーショントレーニングは自分とは違う人たちともつながっていくために必要な学びです。自分と似た考え方、感受性を持った人とはつきあいやすいけれど、自分と異なるタイプの人とは、正直に、率直に語り合うことさえ、大変なことがあります。けれど、そういう人たちとつながることで新たなアイデアが生まれるし、世界が広がっていく。それに気づいて、「アサーティブになりたい」と思うようになりました。
JIEL研究員として、私は看護系の大学院や医療の専門学校でアサーショントレーニングの集中講義をやらせていただいています。けれど、医療人に限らず、一般の方々にもアサーショントレーニングは役立ちます。自分に負荷をかけ過ぎることなく、メンタル面の健康を守りながら、多様な人たちとかかわっていくために、アサーティブなコミュニケーションは大きな力になります。
今回の講座では3日間かけて少人数でロールプレイを交えて、アサーションにじっくり取り組みます。公開講座だからこそ、一人ひとりの参加者のみなさんに自分が日常でアサーションを実践するヒントを見つけていただきたいと思っています。あと若干名の申込受付が可能です。よろしければ、ぜひ上記URLの講座内容をチェックしてみてください。
2013年03月12日
コミュニケーションと世界
今日はJIEL研究員として、名古屋医専 精神福祉学科の学生さんを対象に「アサーショントレーニング」を行ってきました。
朝9:30〜夕方18:00まででしたが、決して長くなく、本当にあっという間。学生さんにとってこの授業が卒業前の最後の授業だったこともあり、終了前に立ったまま全員で輪になって一言ずつコメントする機会を設けたときには、アサーションに出会って気づいたこと、思うこと共に、一人ひとりが同校に入った経緯や一年間の出来事、学科の仲間への思い等を本当に正直に語ってくれて、誰もが涙ナシではいられない心温まる時間になりました。
「コミュニケーションが変われば、人と人との関係が変わり、世界が変わる」。
一人ひとりの言葉から、それが事実であることを実感しました。学生のみなさん、ありがとう!自分も、他者も大切にするアサーティブなコミュニケーションを実践し、みなさんが精神保健福祉士として末永く活躍されることを祈っています!
朝9:30〜夕方18:00まででしたが、決して長くなく、本当にあっという間。学生さんにとってこの授業が卒業前の最後の授業だったこともあり、終了前に立ったまま全員で輪になって一言ずつコメントする機会を設けたときには、アサーションに出会って気づいたこと、思うこと共に、一人ひとりが同校に入った経緯や一年間の出来事、学科の仲間への思い等を本当に正直に語ってくれて、誰もが涙ナシではいられない心温まる時間になりました。
「コミュニケーションが変われば、人と人との関係が変わり、世界が変わる」。
一人ひとりの言葉から、それが事実であることを実感しました。学生のみなさん、ありがとう!自分も、他者も大切にするアサーティブなコミュニケーションを実践し、みなさんが精神保健福祉士として末永く活躍されることを祈っています!
2013年02月11日
ランニング
昔から何度となくNHKの基礎英語や英語会話を聴こうとして挫折している私にとって、自分が毎日やろうと決めたことを続けていくのは、かなり難しいことです。しかし、何と今年のお正月、1月2日から始めたランニングを今も続けることができていて、うれしく思っています^^
おそらく往復で3kmくらいの短い距離で、熟練ランナーなら15分とか短い時間で走ることができるのでしょうが、今までスポーツとは縁のない生活を送ってきた私にとっては、経由地で行うラジオ体操や歩きを含めて、当初は1時間近くかかるようなオオゴトでした。
とにかく1月中は「無理をせず、走ることに慣れること」をねらいにして、どれだけ歩いてもOKと決め、雨や雪の日と自分が風邪をひいたとき以外は出かけました。そして、2月になった今は往復3kmくらいの道のりは変わりませんが、できるだけ歩きを少なくして「走る距離を伸ばす」ことに挑戦しています。
走り始めて1ヵ月と10日くらい経った今も、足には筋肉痛があります。それでも、少しずつ走る距離が伸びていくのはうれしく、今朝、片道の2/3くらい(1kmくらい)休まず走って「明日も走りたい」という気持ちを新たにしました。
走る距離を伸ばすことは、「速く走る」という大それたことには取り組めない状態の私にとって^^;、ランニング時間を短縮することに他なりません。それは1日でも長く続けるためにも必要なことなので、前向きに取り組んでいこうと思います。
おそらく往復で3kmくらいの短い距離で、熟練ランナーなら15分とか短い時間で走ることができるのでしょうが、今までスポーツとは縁のない生活を送ってきた私にとっては、経由地で行うラジオ体操や歩きを含めて、当初は1時間近くかかるようなオオゴトでした。
とにかく1月中は「無理をせず、走ることに慣れること」をねらいにして、どれだけ歩いてもOKと決め、雨や雪の日と自分が風邪をひいたとき以外は出かけました。そして、2月になった今は往復3kmくらいの道のりは変わりませんが、できるだけ歩きを少なくして「走る距離を伸ばす」ことに挑戦しています。
走り始めて1ヵ月と10日くらい経った今も、足には筋肉痛があります。それでも、少しずつ走る距離が伸びていくのはうれしく、今朝、片道の2/3くらい(1kmくらい)休まず走って「明日も走りたい」という気持ちを新たにしました。
走る距離を伸ばすことは、「速く走る」という大それたことには取り組めない状態の私にとって^^;、ランニング時間を短縮することに他なりません。それは1日でも長く続けるためにも必要なことなので、前向きに取り組んでいこうと思います。
2013年01月12日
取材から見えてくる世界、描き出す世界
明けましておめでとうございます。
前向きな気持ちとは裏腹に新年早々、投稿が遅れてしまいました。しかし、遅れても投稿する姿勢でいきますので、今年もよろしくお願いいたします^^
JRが全国のシニア層を対象に「ジパング倶楽部」という会員サークルをつくっています。その会報誌「ジパング倶楽部 1月号」に、私の夫で金属工芸をしている水野正美・作のミルクパンが取り上げられています。昨年、水野くんから取材・撮影の話をきいて、彼の仕事を紹介したいという申し入れはあっても、ミルクパンだけを紹介したいという申し入れは、ごくたまに雑貨スタイリストや編集者の方等からあるくらいなので、わざわざライターとカメラマンが東京から取材・撮影に来てくださって、一体、どんなページができるのだろうと思っていました。
そして、取材・撮影を経て、年末に仕上がった冊子が届きました。「美しき日本の手仕事」というページに、「水野正美さんのミルクパン」と題して掲載された記事と写真は、彼の世界を彼がミルクパンをつくるプロセスから描いていて、ライターとカメラマンが関心を持って彼の世界を観てくださっていたことがよくわかります。見開きの記事を拝読して、ミルクパンだけに焦点化しているからこそ、描き出せる水野くんの世界があるのだということがよくわかりました。
そのライターとカメラマンは「おべんとうの時間」という本でおなじみの阿部直美さんと阿部了さんで、おふたりはご夫婦であり、了さんはNHK「サラメシ」の“おべんとうハンター”としても活躍している方です。私もライターとして仕事をしているので、おふたりの仕事に好感を持ち、「おべんとうの時間(2)」を拝読しました。これもまた、すてきな本です。取材対象者のポートレイトとその人のおべんとう、そしてその人のランチ風景とお話でワンセットになったページが39人分あり、39人の世界を覗いた気分になります。水野くんのミルクパンと同じで、おべんとうに焦点を当てることから見えてくるその人の日常世界があります。
普段、仕事をしていると、本当にさまざまな方々の取材をします。仕事によっては、取材時間の制限が厳しかったり、取材対象者のご本人が取材意図を全くご存じないことも珍しいことではありません。けれど、どんな仕事でもひとつの場を共にして、その方のお話を伺う機会を得られたのであれば、その方の世界に関心を持ち、その方の世界を味わいながら描いていきたいと思います。
前向きな気持ちとは裏腹に新年早々、投稿が遅れてしまいました。しかし、遅れても投稿する姿勢でいきますので、今年もよろしくお願いいたします^^
JRが全国のシニア層を対象に「ジパング倶楽部」という会員サークルをつくっています。その会報誌「ジパング倶楽部 1月号」に、私の夫で金属工芸をしている水野正美・作のミルクパンが取り上げられています。昨年、水野くんから取材・撮影の話をきいて、彼の仕事を紹介したいという申し入れはあっても、ミルクパンだけを紹介したいという申し入れは、ごくたまに雑貨スタイリストや編集者の方等からあるくらいなので、わざわざライターとカメラマンが東京から取材・撮影に来てくださって、一体、どんなページができるのだろうと思っていました。
そして、取材・撮影を経て、年末に仕上がった冊子が届きました。「美しき日本の手仕事」というページに、「水野正美さんのミルクパン」と題して掲載された記事と写真は、彼の世界を彼がミルクパンをつくるプロセスから描いていて、ライターとカメラマンが関心を持って彼の世界を観てくださっていたことがよくわかります。見開きの記事を拝読して、ミルクパンだけに焦点化しているからこそ、描き出せる水野くんの世界があるのだということがよくわかりました。
そのライターとカメラマンは「おべんとうの時間」という本でおなじみの阿部直美さんと阿部了さんで、おふたりはご夫婦であり、了さんはNHK「サラメシ」の“おべんとうハンター”としても活躍している方です。私もライターとして仕事をしているので、おふたりの仕事に好感を持ち、「おべんとうの時間(2)」を拝読しました。これもまた、すてきな本です。取材対象者のポートレイトとその人のおべんとう、そしてその人のランチ風景とお話でワンセットになったページが39人分あり、39人の世界を覗いた気分になります。水野くんのミルクパンと同じで、おべんとうに焦点を当てることから見えてくるその人の日常世界があります。
普段、仕事をしていると、本当にさまざまな方々の取材をします。仕事によっては、取材時間の制限が厳しかったり、取材対象者のご本人が取材意図を全くご存じないことも珍しいことではありません。けれど、どんな仕事でもひとつの場を共にして、その方のお話を伺う機会を得られたのであれば、その方の世界に関心を持ち、その方の世界を味わいながら描いていきたいと思います。
2012年10月09日
ひらかれた言葉
ISO26000の勉強会で、環境の課題について話していたときに「地球温暖化」という言葉を使ったら、多文化共生のNPOの人が「日本ではそう言うけど、海外では『気候変動』と言ってるよ。温暖化は問題だけど、冷たくなるのも問題だし、ハリケーンとか、干ばつとか、異常気象や気候が変化すること自体が問題だから」とコメントして、「なるほど」と思いました。
それから少しして、彼は思い出したように「少子高齢化というのも日本の表現で、世界では『人口変動』って言う。少子高齢化だけでなく、今も出生率の高い国があるし、移住者や移民、難民の問題も深刻だから」と言って、「へぇー、そういうものなのか」と感心しました。「気候変動」に関しては、そういうこともあるだろうと思っていましたが、「人口変動」に関しては、全く意識になかったからです。
しかし、実際は日本国内も外国人比率が高まっており、街なかですれ違う人や電車の中で同席する人の言葉が日本語ではなく、外国語であることがよくあります。コンビニや飲食店、工場で外国人の労働力への依存度が高まっていることも周知の事実です。そう考えると、「人口変動」は確かに少子高齢化の問題だけではなく、日本でも人口構成が年齢・国籍・言語など、さまざまな見地から変わってきているのだと言えるでしょう。
自分では閉じた言葉の使い方をしているつもりはありませんでしたが、グローバルに世界を見渡してみると、実は日本国内のジャーナリズムに植え付けられた言葉を使っていたのだと思いました。ひらかれた視野を持ち、ひらかれた言葉を使いたいものです。
それから少しして、彼は思い出したように「少子高齢化というのも日本の表現で、世界では『人口変動』って言う。少子高齢化だけでなく、今も出生率の高い国があるし、移住者や移民、難民の問題も深刻だから」と言って、「へぇー、そういうものなのか」と感心しました。「気候変動」に関しては、そういうこともあるだろうと思っていましたが、「人口変動」に関しては、全く意識になかったからです。
しかし、実際は日本国内も外国人比率が高まっており、街なかですれ違う人や電車の中で同席する人の言葉が日本語ではなく、外国語であることがよくあります。コンビニや飲食店、工場で外国人の労働力への依存度が高まっていることも周知の事実です。そう考えると、「人口変動」は確かに少子高齢化の問題だけではなく、日本でも人口構成が年齢・国籍・言語など、さまざまな見地から変わってきているのだと言えるでしょう。
自分では閉じた言葉の使い方をしているつもりはありませんでしたが、グローバルに世界を見渡してみると、実は日本国内のジャーナリズムに植え付けられた言葉を使っていたのだと思いました。ひらかれた視野を持ち、ひらかれた言葉を使いたいものです。